お椀の中の蝶

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母を連れて高松まで行ってきました。
叔父のお通夜と葬儀に参列するためです。
久しぶりの高松駅の風景に
母はとても驚いていました。

母の生まれ育った土地ですが、
懐かしさはなく、
他の土地に来たような気がすると
しきりに言っていました。

このところ車で訪れることが多かったんですね。
だから街の変化に気づくことがありませんでした。

写真はお通夜でいただいたお弁当についていたお吸い物。
湯葉が蝶々になっていました。

派手さはないですが、
美しい盛り付けで
美味しかった。
「おいしいですね」と言ったら
「二蝶」という有名な料亭のお弁当だと教えてもらいました。

そう、小さなことまで心配りの行き届いた
素敵なお別れの会でした。
叔父の深い愛情を感じて
悲しく寂しかったけれども、なんだか感動しました。

会が終わり、マリンライナーと新幹線に乗って広島駅に到着。
電車に乗り込ませて外で見送っていましたが、
母は一度も振り返ることなく電車は動き出しました。

いつも母に振り返って欲しくて、
見えなくなるまで後ろ姿を見つめてきましたが、

振り返ったことはありません。

私には特別厳しくて、
泣きそうになるくらい薄情なことをしますけれど、
その度にか弱くて柔らかい心の部分が
ズキンと痛みますけれど、

それが今の私を作っています。

だから振り返らなくても
後ろ姿を見つめてしまうのです。

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